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意識高い系のブログ

Negiccoにハマった人のブログ。Negiccoその他アイドル、文房具など色々書きたい。

【ネタバレ】朝井リョウ原作映画「何者」を、元就活生が観てみた。

Movie Movie-Review
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朝井リョウ原作の「何者」が映画化された。就活を舞台をした映画、実は私は2017年卒ということで、今年就活をしてきた身。なのでそんな視点も反映しながら、映画の感想を書いてみようと思う。ちなみに私の就活については下記にまとめてある。

 

highconsciousness.hatenablog.com

 

 

ざっくり感想 〜原作のほうが好き〜

正直そんなに面白くはなかったかな。映画と原作を比べてどっちが良いとかはあまり書きたくないのだが、やはり原作の方が面白かった。
 
中途半端に原作に忠実に仕上げようとした結果、ストーリーに関係ないところを端折ってとりあえず2時間以内にまとめたって感じ。
 
映像作品ならではの表現で面白いところはあった。特にクライマックス。主人公の二宮拓人のTwitter裏アカウントである「何者」が暴かれるシーン。舞台風の演出になっていて新鮮だった。他にも、劇中の劇の表現は中田ヤスタカの音楽にプロジェクションマッピングを採用するなど、かなり凝って良い。本作の監督は三浦大輔という方で、演劇出身だそうね。力が入っているのを感じた。
 
あとは、拓人が小早川里香に色々言われた後、片想い相手の田名部瑞月と対峙するシーンも良かった。「何者」のTwitter画面をスクロールする瑞月、そしてそこに飛び込んでくる拓人。そして瑞月が「拓人君の、ひらがなの『たくと』君の創るお話、面白かったよ」なんて声を掛ける。このシーンはきれいだなあと思った。恋愛には発展しなかったけど、確かに拓人を認めていたということがわかる描写があるのは、原作よりも優れていると感じた。
 
それから、就活関連の描写はかなり本物っぽい感じがした。エントリーシートを見せたいけど見せたくない感じとか、内定決まったら条件反射的にとりあえず喜びを共有する、でも影では内定先の企業を聞いたら悪い評判がないか調べてみたり…表向きは協力しているように見せておいて、実際には互いに牽制しあっている。この辺の感情の動きはかなりリアル。
 
まあ、そのくらいですかね。やはり原作を97分に収めるのは厳しかった。全体的に中途半端。
 
一番気になったのはサワ先輩の描き込みの薄っぺらさ。喫煙所のシーンでは拓人に「ギンジと隆良は似てるって行ってたけど、あの2人、全然違うよ」「お前の方こそ、もっと想像力のあるやつだと思っていた」なんて言うんだけど、ここが急過ぎ。だって、この時点では隆良とサワ先輩は初対面。それなのに隆良のことを一瞥しただけで言い切る。あるいは、神谷光太郎の内定祝いの場面。喫煙所での会話をぶり返して「Twitterの140字が重なっただけで一緒に束ねて片付けようとするなよ」とか言っちゃう。
 
嫌なのはどちらのシーンもサワ先輩が言い逃げしているってところ。話は変わるけれど瑞月の独白シーンは、隆良を自分の考えを一方的に語って部屋を出ようとする。このままでは隆良が正しい事になってしまう、というところで瑞月が口を開く。隆良にはこうやって叩かれるシーンが用意されているんだけど、サワ先輩はそれがないから、なんかむかつく。
 
あとは、やっぱり瑞月の独白と里香の暴露は長いセリフ回しがそのまま再現されるのを期待していただけに、ちょっと拍子抜けだった。
 
それから、最後の面接シーン。「一分間で自分を表現して下さい」という問いに対して拓人はなんかダラダラと演劇について語り出す。原作でも演劇の話はするんだけど、映画では余裕で一分間が超過した挙句、「一分間では話し切れません」とか言って切り上げちゃう。「時間が迫っているのにグダグダしすぎ問題」って、映画あるあるなわけだけど、「この映画もか!」って感じ。
 
原作では、「自分の長所・短所」について聞かれた拓人は「短所はカッコ悪いところです」「長所は、自分はカッコ悪いという事を、認めることができたところです」と面接官に伝える。
 
今まで裏アカウントで放ってきた言葉たちがことごとくブーメランだったことが明らかになったあと、初めて自分の言葉で自分のカッコ悪さを認める大事な場面だと思っている。それだけにこの場面がカットされたのは残念。
 
というわけで、原作小説を読んだ上で映画を見ると、なんか面白くない。同じ朝井リョウ原作の映像作品でいうと「桐島、部活やめるってよ」が傑作で、こちらは主人公の映画ヲタク性の質が原作とは異なっていて、これが最終的に映画的に良くなっているのでオススメ。だけど本作は…うーん、映画を観てピンとこなかった人は原作小説は読んで欲しいかな。
 
映画が終わったあと、高校生くらいの少年たちが「就活したくねぇ…」とつぶやいていた。確かに人間関係が壊れるシーンはサスペンス・ホラーみたいだったもんね。でも大丈夫、意外となんとかなるから。
 

原作、その他関連作について

 
やはり原作は傑作。第148回直木三十五賞受賞も受賞しているので、ぜひとも読んで欲しい。
 
 
 
そして、スピンオフ作品「何様」もオススメ。こちらは登場人物の前日・後日談が描かれている。光太郎が瑞月を振った原因となった女子とのエピソードは、甘ったるいラブストーリーになっていて面白い。
 
 
 
朝井リョウといえばやはり「桐島、部活やめるってよ」だ。こちらは個人的には原作よりも、映画版のほうがオススメ。
 
 
 
朝井リョウ原作の映像作品でいうと、「武道館」もオススメ。映像化にあたっては、物語の語り部となる人物としてお強いヲタクが追加されていて、こいつがマルチウィンドウでPCカタカタ、その上で現場に出向いてメンバーに説教するという、「今どき?」なキャラなのだけど、一周回ってアリ。高畑裕太出演作としてもお馴染み。